クラシックでオペラで演劇!? 「モーツァルトとマリー・アントワネット」観劇レビュー
クラシック×オペラ×演劇の融合
オペラ歌手、クラシックの演奏家、俳優という三者を起用し、クラシックコメディ、略してクラコメというスタイルで人気を集めている東京イボンヌ。前回公演「俺の兄貴はブラームス」では、いしだ壱成をゲストに起用するなどして、話題になっいたが、今回は石井康太と宮地真緒を迎え「モーツァルトとマリー・アントワネット」を上演。こちらの公演を観劇してきた。
神から遣わされ、モーツァルトとして人間界に降りてきた男は、あのマリー・アントワネットと恋に落ちる。ベルばらを読んだことのある方ならご存知かもしれないが、マリー・アントワネットの旦那はルイ16世というフランス王で、狩りと錠前作りが趣味の地味な男だ。それが不満だということもあり、マリーは他国のイケメン王子と浮気したりする。そんなマリーの荒んだ心を埋めるためにモーツァルトは曲を書きピアノを演奏するわけだが、モーツァルトを演じている俳優は歌わずオペラシンガーが歌い、楽曲は演奏家がガッツリ演奏するのだ。
それは一見違和感を感じたりもするわけだけど、個々のクオリティが高いので、なるほどと思いながら自然に受け入れられた。
コメディというだけあって、ところどころで笑いのシーンが挟んであるので、よくあるオペラ公演よりも見やすい。また、芝居がベースなので、ストーリーを理解した上でクラシックの演奏に聞き入ることもできる。私は普段、演劇を中心に観ているわけだが、こういう試みでクラシックやオペラに触れられるのっていいじゃないの!と思った。
また、今回の劇中で使われていた曲は全てモーツァルトの楽曲で構成されていたらしいのだが、作る方は大変だっただろう。モーツァルトというと明るい曲というイメージがあったが、実にいろいろなメロディが登場していて飽きさせなかった。さすが神の子。
惜しむらくは、ストーリー展開にもうちょっと波があったり、激しい葛藤があったりしたらいいにのなと思ったが、きっとこれから洗練されていくのかもしれない。クラシックとオペラと演劇をミックスできているなら、ダンスやパントマイムやプロジェクションマッピングなんかも足して、全部盛りにしてくれたらいいのになと、無責任な観客としては願ってみます。
次回公演は2016年3月末とのこと。
(文:森脇孝/エントレ)
公演情報
東京イボンヌ 舞台「モーツァルトとマリー・アントワネット」
【脚本】福島真也 増田雄(脚本協力)
【演出】福島真也 金崎敬江(演出補)
【音楽監督・編曲】小松真理 【音楽顧問】阪本正彦(東京交響楽団)
【俳優】宮地真緒、吉川拳生、石井康太、与座よしあき、安藤裕、飯島香愛子、泉川萌生、大澤慶佑、大塚秀記、岡野一平、小俣彩貴、金子拓平、金丸昇平、狩野和馬、鹿目真紀、鈴木貴大、其田健太郎、そのださえ、伊達裕子、東咲奈歩、中西好恵、西山康平、花美えりぃ、舞はるり、三好香奈、若松絵里、渡辺多恵子、吉水恭子、米倉啓
【声楽家】藤井泰子 二瓶純子
浅川荘子 岡﨑麻奈未 齋藤麻衣子 中村初恵 野上結美 古澤利人 平岡基 持木悠 河野鉄平
【演奏家】小松真理 澤野慶子 國本樹里 今井佑佳 印田陽介 土田卓 星野昴 今井潤子 冨沢麻衣 柴田真理 松永唯 松山美甫 安岡亜佳音 数馬尚子 渡辺定路
2015年12月8日(火) ~ 12月10日(木)/東京 スクエア荏原・ひらつかホール ※上演終了