大島優子×鈴木浩介舞台「美幸-アンコンディショナルラブ-」観劇レビュー
舞台「美幸-アンコンディショナルラブ-」観劇レビュー
青年座/On7(オンナナ)の尾身美詞です!
「美幸-アンコンディショナルラブ-」の観劇レポートをお届けします。
元AKB48の大島優子氏と鈴木浩介氏出演、鈴木おさむ氏が作・演出で話題を呼んでいる舞台「美幸ーアンコンディショナルラブ」が5月12日、下北沢本多劇場にて開幕。
中学時代の壮絶ないじめ体験により心が歪んでしまった、主人公美幸の狂気にも似た愛の物語。
この作品は鈴木おさむ氏が自身の妻(森三中の大島美幸氏)の中学時代のいじめ体験を聞き発想を得て執筆したそうで、2012年に鳥居みゆき氏と山崎樹範氏の出演で初演。その後、2013年9月に再演、2014年には小説として書籍化もされた作品です。
中学時代、新聞社主催の書道コンテストで脚光を浴びたことをきっかけに周囲の嫉妬心から壮絶ないじめに遭い、心が歪んでしまった美幸(大島優子)。大人になって同じ会社で出会った元役者の雄星(鈴木浩介)に自分の過去と似たものを感じ、彼への無償の愛を捧げることを誓う・・・
現在から過去を振り返るという形で舞台は進行します。
美幸の幼い頃からの趣味は「文字日記」を書くこと。文字から湧き上るイメージを楽しみ、心に留まった文字をノートにしたためる。文字の捉え方や、「頑張る」ということは「顔晴る」ということだ。と造語を作るなどユニークで、その発想も含め、書道コンテストで優勝し「天才書道少女現る!」ともて囃されてしまう。
中学時代のいじめまでのいきさつ、心理描写などが細かく・・徐々に仲間の輪から外されて行く様子やリーダー格女子の存在などが生々しく、復讐心の芽生え、精神の歪んでいく様は心が痛みます。
また、アイドルがこんな言葉やあんな言葉を?!?という、絶対聞くことはないNGワードを役者魂で連発している大島さんは小気味よく、気持ちいいくらいの清々しさ。美幸の心の内を吐露するシーンは感情を爆発させ、迫力の演技を見せてくれます。
進行役の鈴木浩介さんは、美幸をとりまく5人の男を変幻自在に演じ分け、美幸が愛してしまう「元読者モデル、元役者」の雄星のキャラクターは喋り口調から態度まで絶妙です。
「周りの嫉妬心」ということがいじめのきっかけでこの作品のキーワードですが、幼い頃から芸能界で活躍されてきた大島さんだからこそ、美幸に共感し感じるものがあるのだろうな。など想像が膨らみます。
アンコンディショナルラブ=無償の愛、相手に自分自身を重ねるからこその美幸の歪んだ無償の愛情・・・
ぜひ本多劇場で目撃ください。
詳細は公式サイトで。
舞台「美幸」公式サイト
(文:尾身美詞)
公演情報
鈴木おさむ劇場 舞台「美幸 -アンコンディショナルラブ-」
【作・演出】鈴木おさむ
【出演】鈴木浩介、大島優子
2016年5月12日(木)~24日(火)/東京 本多劇場
2016年5月27日(金)~30日(月)/大阪 サンケイホールブリーゼ