【役者コラム008】初心者必見! 舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ! 《ベースメイク編》

【役者コラム008】初心者必見!舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ!《ベースメイク編》

【役者コラム008】初心者必見! 舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ! 《ベースメイク編》
【役者コラム008】初心者必見! 舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ! 《ベースメイク編》

【役者コラム008】初心者必見! 舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ! 《ベースメイク編》

エントレ読者の皆様、こんにちは!
楽劇座の五條なつきです。

舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ舞台メイク講座。前回の<舞台メイクの基本編>に引き続き、今回は<ベースメイク編>をお届け致します。

舞台のベースメイクと言えばドーランを使う…というイメージがあるかと思いますが、その正しい選び方や使い方をご存知ですか?
前回に引き続き三善メークアップ研究所の市川さんに、初心者におすすめのアイテムについてもお伺いしてきました。

ベテラン役者も驚く!?情報をお聞きする事ができましたので、どうぞお付き合い下さい。

ベースメイク編

五條「それでは続いて、舞台のベースメイクについてお伺いしたいと思います。まず、舞台メイクの下地って何を使うのがベストなんでしょうか?私の周りではオイルが入ったクリームや拭き取るタイプのクレンジングクリーム等、保湿系のクリームを塗っている人がほとんどなのですが…」

市川「実はメーカーからするとそれは都市伝説みたいなもので…牛乳石鹸など、シンプルに洗顔した直後のお肌がパサついた状態に塗るのがベストです。」

五條「えっ!!でも、私の周りや、有名な舞台役者さんもオイルが含まれたクリームを下地にしているとしょっちゅうお伺いするのですが…」

市川「油分があると崩れる原因になるので、三善ではオイル系のクリームを下地にする事は推奨してないんです。」

五條「そうなんですね…これは舞台役者の間では常識のようになっているので、結構びっくりする方も多いのではないでしょうか?」

市川「たぶん、誰かが何かの理由があって始めた事が定着してしまったのではないかと思います。例えば、ものすごく乾燥肌でドーランが上手くのらずに悩んでいた時にクリームを下地にして、それが上手くいったから他の人も真似して…みたいな」

五條「なるほど。きっと最初は理由があったけど、形だけが残って広まってしまったと」

市川「でも三善では推奨してないというだけなので、ご本人がそれで崩れにくくて綺麗なメイクが出来るという事であれば、クリームを下地にして頂いても何の問題もありません。乾燥肌の方だとクリームを下地にした方が上手くドーランが塗れるというケースもあると思います。季節や状況、個人の肌質にもよりますので、ご本人がやりやすいようにして頂ければ大丈夫です」

五條「その時の状況や自分の肌質を見極めて、自分が1番綺麗にメイクできるようにするのがベストという事ですね!」

市川「ただ、油分が多すぎると崩れの原因になる事は間違いないので、クリームを使う場合はしっかり余分な油分をオフしてからドーランをのせて下さいね」

↑とにかく色々なカラーが揃うグリースペイント
↑とにかく色々なカラーが揃うグリースペイント

五條「それから、舞台用のファンデーション、いわゆるドーランは種類がたくさんありますよね?どうやって選べばいいでしょうか?」

市川「繰り返しになりますが(※前回参照)、日常用のものは舞台に適さないので、崩れにくく照明が当たった時に肌が綺麗に見える舞台用のものを使って下さい。三善だとグリースペイント(864円)が色数も多く、お値段もお手頃で1番人気です!色は役柄に応じて選ぶといいと思いますが、もし練習用にひとつ用意するのであれば、自分の肌に伸ばして比較的馴染む色がいいと思います。ただ、ドーランは大舞台ほど伸ばさず使うので、薄く伸ばすというよりはしっかりめに塗って下さいね。」

五條「ものすごい色数で圧倒されますね。私は大学のメイクの授業で、明・中・暗の3色を持っていると、陰影を付けることも出来るし、色を混ぜて好きな色も作れるからぜひ3色は持っておきなさいと教えて頂きました」

市川「そうですね。ドーランは色を混ぜやすいので、オリジナルの肌色も作りやすいです!陰影も粉よりも練り物(ドーラン)で付ける方が崩れにくいので、ハイライトやシェーディング、チークに使える色も揃えて損はありません。あとは、手を汚さずに手早く塗りたいとか、自分ではなく他人にメイクをする機会が多い場合はスティックファンデーション(2,160円)も使いやすくてお勧めですよ」

五條「私の役者仲間で、ドーランを使うと肌が荒れるから敏感肌でも使えるものがあれば知りたいという子がいます。確かにドーランは強いから肌荒れする人もいる、とよく聞くのですが…」

市川「もしかしたら、その方はクレンジングが足りないのかもしれません」

五條「肌にドーランが残っているという事ですか?」

市川「アレルギーでなければ、クレンジングをしっかりすれば肌荒れする事は滅多にないんです。歌舞伎役者さんって、1番強い白塗りを毎日し続けているのに基本的に肌荒れしていませんよね?」

五條「という事は、ファンデーションと一緒でクレンジングも舞台メイク専用のものを使った方が良いという事でしょうか?」

市川「はい!ドラッグストアで売られているようなクレンジングは、そもそも舞台メイクを落とす事を想定していないんです。なのでメイクが落としきれず残ってしまったり、あとは<落ちない→こする→落ちない→こする→…>と、落ちないからどうしてもこする事を繰り返して肌に負担をかけてしまい、肌荒れを招いている事も多いです」

五條「なるほど!」

市川「各メーカーは「自分のメーカーの化粧品が落ちるか?」という基準でクレンジングを作っているので、使っているメーカーのクレンジングを使うといいですよ。三善でも何種類かクレンジングをご用意しているので、どのクレンジングを選べばいいか分からない場合は遠慮なくスタッフに聞いて下さいね」

舞台メイクの時には、クレンジングも舞台メイク用のものを使いましょう!
↑舞台メイクの時には、クレンジングも舞台メイク用のものを使いましょう!

五條「参考になります!あと、みんな知りたがっていると思うのですが、汗をかいても崩れにくいベースメイクにするコツはありますか?」

市川「ドーランの上からおしろい…三善だと粉白粉(1,512円)をしっかりはたいて、油分を抑えて下さい。より汗に強いメイクにしたい場合は、水分を含ませて使うフェースケーキ(2,376円)をおしろいの上からのせると、私達は「面が整う」と言っているのですが…肌がつるっと綺麗に見える上に化粧崩れしにくくなります」

崩れにくい舞台メイクには必須!フェースケーキと粉白粉
↑崩れにくい舞台メイクには必須!フェースケーキと粉白粉

五條「フェースケーキは本当に色んな舞台役者さんが愛用していて有名ですよね。おしろいの上からでないと付けられないんですよね?」

市川「はい。ベタベタした上からはのらないものなので、おしろいで油分を抑えた上からのせて下さい」

五條「衣装にドーランが付くのを避けたい時はどうすればいいでしょう?」

市川「油分を抑えるフェースケーキを仕上げに使うと比較的付きにくくなります。ただ、肌と衣装がこすれるとどうしてもお化粧が削れて油分が表面に出てしまうので、絶対に付かないというのは難しいですが…。あとはボディに使う方が多いですが、リキッドメークアップ(2,160円)も水性なので比較的付きにくいですよ。やっぱり油性のものよりも水性の方が衣装に付きにくいんです」

腕や脚、背中等のボディに使う人が多い水性ファンデーション
↑腕や脚、背中等のボディに使う人が多い水性ファンデーション

五條「やはり油分を衣装に触れさせない事が大切なんですね。それにしても、舞台のベースメイクは奥が深い!種類があまりにも多くて選び方が分からないとか、使い方がいまいちよく分からないから知りたいというお声も多く頂いていたので、今日は色々とお伺いできてよかったです!」


当たり前のように使っていたアイテムにも新しい発見があり、私も楽しくなって「これは?」「じゃあこれはどうなんですか?」とどんどんお伺いしてしまいました!
舞台メイクのベースについては、記事にして欲しいというご要望も特に多く頂いていたので、舞台メイク初心者の方の参考になれば嬉しいです。

次回は<ポイントメイク編>をお届けします。崩れやすいアイメイクや口紅のお悩みにも答えて頂きましたので、どうぞお楽しみに!

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
協力:三善(http://www.mitsuyoshi-make.com/

(文:五條なつき ※文章・写真の無断転載を禁じます)

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