明日を想えば、死がちらつく! そんな五十路の逆噴火物語! 高田聖子の月影番外地その7『暮らしなずむばかりで』1月18日(水)から下北沢ザ・スズナリで上演
月影番外地その7『暮らしなずむばかりで』
高田聖子の月影番外地その7『暮らしなずむばかりで』が1月18日(水)から下北沢ザ・スズナリで上演される。
月影十番勝負は、劇団☆新感線の女優・高田聖子が「劇団公演とは違った新しい試みに挑戦したい」という思いから1995年に立ち上げ。気鋭の作家、演出家、俳優に勝負を挑み続け、2006年に決着を迎えたが「まだ勝負はついてない! もっと続けたい!」との思いが募り、2008年に月影番外地として復活した。
2016年に上演した『どどめ雪』では、高田聖子が第51回國屋演劇賞個人賞を受賞するなど、各方面から大きな評価を得ているシリーズだ。
高田聖子 月影番外地「どどめ雪」より
第7弾となる今回は、小さなアパートで暮らす女と、その周囲の住人たちの物語だ。
出演は高田聖子をはじめ、宍戸美和公、森戸宏明、信川清順、田村健太郎、松村武が出演する。
脚本は『くじけまみれ』『つんざき行路、されるがまま』『どどめ雪』も手がけた福原充則。演出は木野花が手がける。
物語
能見(高田聖子)は一人暮らしを始めた。
父はとっくに他界。
同居していた母が亡くなり、小さなアパートを借りたのだ。
今まで母の介護に使っていた時間が空いたので習い事でも始めたいが、「『これを最後の趣味として一生続けたい』と思うと、簡単に選べない。」と思っているうちに人生に迷い、散歩の途中で立ち尽くしてしまうことが増えた。
…が、いざ立ち尽くしてみると、道を聞かれたり、宗教に勧誘されたり、立ちんぼと間違えられて値段交渉されたりと忙しい。それで能見は〝立ち尽くす〟を趣味にしてみた。
能見のアパートの大家は、逆巻(宍戸美和公)という女だった。小さな会社の平社員だが、全財産を費やして安いアパートを買って大家になったのだ。普段は会社勤め。管理は不動産屋に任せている。でも大事なアパートを大切に使ってほしい。
特に、能見の入居した101号室は、老後に自分で暮らす予定の部屋らしく、「大事に使っているかしら」と2日に1回様子を見に来る。
能見の隣の部屋には庄司(松村武)という男が住んでいる。サラリーマンのようだが出張が多く、平日はほぼ気配がない。ひょんなことから、庄司の留守中に、庄司の部屋の中に入ることになった能見と逆巻。庄司の部屋には、何も家具がなく、生活の気配がほぼなかった。
実は〝庄司〟は偽名であり、本当の家は別の町にあり、家族もいたのだ。
わざわざ偽名でアパートを借りた理由は、〝家族に邪魔されずに、週末静かに読書するための隠れ家〟ということらしいが…。
そうして3人は知り合い、50代に相応しいテンションで仲間になった。その後、50代には相応しくない理由で夏休みの小学生のような冒険に出ることになるのだ。冒険の過程で、3人の大人としての秘密が垣間見えていく…。
さて、物語はまだ登場人物がいるのだ。
庄司の息子(森戸宏明)
週末はかならず家から姿を消す庄司の浮気を疑って、庄司の14才の息子が現れる。この息子は見た目はかなり老けていて49才くらいに見える。その老け顔故に、クラスメイトよりも将来を想い、そして憂う時間が多い。今、息子は悩んでいる。
no-sa,BW(ノーサ・ビックウェーブ)(田村健太郎)
〝ノーサ・ビックウェーブ〟のノーサは能見聡の略である。能見の年の離れた弟だ。数年前まで売れないアイドルグループに所属していたが、万引きして捕まり解雇された。それからは、数少ない熱心なファンを騙しつつ、様々な怪しい事業に手を出しては失敗を繰り返している。
白井(信川清順)
近所の健康志向、超おしゃれな惣菜屋の店主。一見、いい人だが、添加物が入ったものを食べている人を心底バカにしている。「時給が安くても真心のある職場だから」という理屈で、従業員を安くコキ使っている。彼女なりの価値観で、アパートに住む50代トリオのことを「親切に値する」と評価し、〝親切の押し売り〟という感じで接してくる。
本作は1月18日(水)から東京・下北沢 ザ・スズナリで上演される。
詳細は公式サイトで。
https://sunrisetokyo.com/detail/20047/
(文:エントレ編集部)
月影番外地その7『暮らしなずむばかりで』
【作】福原充則
【演出】木野花
【出演】高田聖子、宍戸美和公、森戸宏明、信川清順、田村健太郎、松村 武
2023年1月18日(水)~1月29日(日)/東京・下北沢 ザ・スズナリ