石丸幹二×笹本玲奈×濱田めぐみ ミュージカル「ジキル&ハイド」観劇レビュー
ミュージカル「ジキル&ハイド」に出演する石丸幹二と濱田めぐみ 写真提供/東宝演劇部
人間の二面性、2人の女性との愛が悲しみを誘う!
2001年に日本で初演され、以来絶大な人気を誇るミュージカル『ジキルとハイド』が3月5日(土)より東京国際フォーラムホールC にて幕を開けた。
2012年3月の公演で人気を博した石丸幹二、笹本玲奈、濱田めぐみの三人によって再び演じられる!
ミュージカル「ジキル&ハイド」に出演する石丸幹二 写真提供/東宝演劇部
怪奇小説の定番として有名なスティーブンソン『ジキル博士とハイド氏』をベースに人間の善と悪をテーマにつづられる物語。
このジキルとハイドの2面性とともにそれに翻弄される2人の女性の姿が心に刺さる作品だった。
石丸幹二の端正な歌唱と立ち振る舞いが、若く正義感に燃えるジキル博士のキャラクターを見事に体現。有名な『時は来た』を歌い上げた後、残虐なハイドに変貌した彼の狂気に満ちた視線と声は、冷たく心をえぐってくるようだった。
また、残虐シーンを表情を変えることなく行う姿は圧巻で、思わず手に汗を握ってしまった。
そして、ラスト間際の二つの人格がせめぎあうシーンを演じる石丸の姿は必見だ。
ミュージカル「ジキル&ハイド」に出演する笹本玲奈と濱田めぐみ 写真提供/東宝演劇部
そんな彼に深くかかわる笹本玲奈と濱田めぐみ。笹本の透明感のある声と濱田の情感たっぷりの声の対比が非常に楽しかった。
婚約者エマを演じた笹本はまさにヒロインという清純さにあふれており、石丸との『ありのままの』では愛する二人の姿に胸を温かくさせられたし、やがて、ジキルの様子が変わっていく中でも『あれは夢』で健気にジキルを思う姿には心打たれた。
そんな笹本と対照的な娼婦ルーシーを演じた濱田は繊細かつ大胆に娼婦の悲しみや孤独を表現していた。
ジキルに惹かれながら、ハイドに翻弄される彼女が歌う『あんな人が』『新たな生活』などはルーシーの心の内を感じさせ、未来を語る明るい歌詞にも関わらず涙を誘った。
そんな笹本と濱田が2人で歌う『その目に』は今でも耳の奥に残る素敵な歌だった。
石丸幹二×笹本玲奈×濱田めぐみ。
この3人のバランスが「また見たい」「もう一度聞きたい」と強く思わせてくれる作品の要なのだ。
ミュージカル「ジキル&ハイド」舞台写真 写真提供/東宝演劇部
また脇を固めるアターソン役の石川禅、ストライド役の畠中洋、ダンヴァース卿役の今井清隆を始めとしたキャスト陣も安定した演技で物語を彩り、アンサンブルも含めた全員がそろった合唱やダンスが迫力がある舞台を創っていた。
光を巧みに操る山田和也の演出、音楽をダイナミックに奏でる塩田明弘の指揮にも注目してほしい。
本作は現在上演中。3月20日まで東京国際フォーラムホールCにて上演後、大阪、愛知でも上演される。
ミュージカル「ジキル&ハイド」公式サイト
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(写真提供:東宝演劇部 / 文:平岡基)
公演情報
ミュージカル「ジキル&ハイド」
【原作】R・L・スティーブンソン
【音楽】フランク・ワイルドホーン
【脚本・詞】レスリー・ブリカッス
【演出】山田和也
【上演台本・詞】髙平哲郎
【出演】
石丸幹二 濱田めぐみ 笹本玲奈
石川禅 畠中洋 花王おさむ 今井清隆 他
2016年3月5日(土)~3月20日(日) 東京・東京国際フォーラムC
2016年3月25日(金)~3月27日(日) 大阪・梅田芸術劇場 メインホール
2016年4月8日(金)~4月10日(日) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール